ある日のこと、墓地をお探しになっているお客様が来店しました。
その方は、働き盛りのご主人をご病気で亡くし、息子さんと一緒にいらっしゃいました。
大ちゃんは最初のうちは事務的に、候補地の説明などをしていましたが、
ひと段落して、「ご主人はどんな方でしたか?」と話をきりだしました。
すると、それまで無口だった息子さんが
「親父はいくら体がきつくても泣き言を言わず、
 いつ行ってもにこにこ僕らを迎えてくれた。」とおっしゃいました。
大ちゃんよりも若いお父様だったのに、その精神力のすばらしさに
「俺はとてもそういう風にはできないだろうなぁ。」と、ぽつりともらしました。
奥様と息子さんは、それからお父様がどんな方だったのかを
沢山話してくださいました。
週末にお父様を家に連れて帰る時には、釣りが好きだったので
海に立ち寄ってしばらく海辺を散歩したこと。
最後のほうにご主人がもらした「俺、病室で一人で泣いた。」という言葉を
聞いた時の奥様の気持ち。
お葬式がすんで、いろんな手続きや仏事などで
忙しい毎日を送っていらしたご家族は、ゆっくりと亡くなられた方の思い出を
ひもとく時間もゆとりもなかったのでしょう。
改めて言葉にすることで、ありし日のご主人のことが思い出されて
涙を流されていました。
そこで、ふと大ちゃんを見てみると、大ちゃんは一生懸命まばたきをして
涙が流れるのを止めようと努力していました。
その努力もむなしく、目じりから涙がひとすじ落ちた大ちゃんでした。
大ちゃんは、汗だと言い張っていましたが。
「石の郷」ダイボ石材店が綴る
大ちゃん日記
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